数日前に、お客様から啓翁桜(けいおうざくら)をもらいました。
関山地区に住んでいるかたで、初めて啓翁桜を栽培したそうです。
そのお気持ちを有難く頂戴しまして、店内に2~3日置いていたのですが、昨日からあっという間に満開となっています。
今年は寒波の影響で寒さが厳しく、大雪となっていましたが、そんな外の厳寒の季節も忘れさせてくれる啓翁桜を紹介しましょう。
啓翁桜の栽培は、我が町…東根市で盛んです。
東根市なかでも「関山(せきやま)」という地域でハウス栽培をしています。
仙台市から西道路を越え、作並温泉の桜街道を通り過ぎ、48号線の関山トンネルを越えると「東根市関山」です。
啓翁桜は支那桜桃と彼岸桜を交配して作られたものです。
その歴史は古く江戸時代に生花を扱う業者が、冬に花を咲かせる技法を編み出しことから始まっているそうです。
12月中旬から3月までに真冬にも満開になる桜として「縁起が良い」として全国的に人気があります。
桜は秋になると外気温が低くなるので「冬眠」「休眠」に入り、3月中旬から4月中旬の気温の上昇で開花するのが一般的です。
啓翁桜の場合には、促成栽培で出荷前にハウスの内気温を上げ、「春の陽気」を作り出すことにより、啓翁桜たちが「スプリング・ハズ・カム(春が来た)」と思い込み花が一斉に咲き出すというわけです。
雪国の外気温の寒さとハウスの暖かさの気温差が鍵を握っているようです。
自然とはやはり素晴らしいものですね。
さて、東根での生産が向いている理由として、夏から秋に向けて寒暖の差が大きく、また初秋が訪れるのが早いので、それだけ早く休眠、冬眠に入れるのだそうです。
また空気がきれいなのも幸いしているとのことでした。
啓翁桜という地元の名産品をこのような形で全国の皆様に紹介させて頂くのは嬉しく、同時に今も雪が降る中、春を待ち焦がれる私たちの思いも込められていることが、早春の訪れを示唆するようだとも思いました。
「私にも 春をおくれ 啓翁桜」 幸太郎
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(漢方コラム第43話「坂町の寺桜(熱海桜)」第60話「冬の若木山(桜皮)」では、桜の漢方的な解説があります)