朝の早朝7時台ですから、大型観光バスも到着しておらず
周囲には静寂さが漂っています。
(実際、8時過ぎになったら、バスがいっぱいやって来て
お祭り騒ぎの歩行者パレードになる寸前でした!)
ブナ林を歩いていると、ふと山形新聞に永幡嘉之さんが連載していた「ブナを追う旅」が
頭の中に浮かんできました。
「ブナを追う旅」は県の永希少野生生物調査検討委員として活躍中の永幡さんが、
ヨーロッパなど世界のブナ林を旅し、
体験したこと、思ったことを随筆にしたものです。
師の高い文章構成力とブナ林の写真の美しさも相まって、
ブナは世界中にもあって、またそれを追いかける魅力があるんだなあと、
密かに思っていただけに、奥入瀬のブナたちに出会えたことに喜びます。
永幡さんと一緒に世界のブナ林を旅している気持ちになった私にも、
なんとなくブナ林の魅力が分かるような気がしてきました。
ブナ林を歩いていると、ブナの葉からもれる木漏れ日に感動したり、
どこかこのまま遠くの知らない世界へ自分が行ってしまうのではないかという、
漠然たる不安感を持ったりもしました。
子供の頃に、自分の家よりも遠いところに行ってしまって、
「帰れないかもしれない」という恐怖感に似ています。
そのような甘美な不安を持ちながら、ふとブナを見上げると、
実に新緑の葉っぱが美しいではありませんか!
幾何学模様の葉っぱを眺めていると、不思議な気分。
ブナのハーモニーとでも言うべきか、
自然の方程式でしょうか、美しさを感じました。
ヴァシリー・カンディンスキーの世界かもしれません。