初期胚と胚盤胞移植、凍結融解胚移植の妊娠率に差はありますか?どの方法で移植するのか、基準はありますか?
回答
分割期胚移植、胚盤胞移植および凍結融解胚移植において、妊娠率に差が認められるが、その成績は施設や国によっても異なる。一般的にもっとも着床率が高いのは胚盤胞移植で40%前後、ついで分割期胚移植で15~20%ある。
欧米では凍結融解胚移植によって分割期胚移植でも、胚盤胞移植でもその臨床成績は20%ほど低下すると報告されている。しかし、わが国の凍結融解胚移植の成績をみると、新鮮胚移植の成績を凌いでいる。このような結果はわが国の医療機関の格差を反映しているものではないかと考えられる。凍結融解胚移植の優れた技術を有する施設では、凍結融解胚移植を試みてもかなり良好な成績が得られていると思われ、その結果、全国の新鮮胚移植の成績を凌ぐ結果をもたらしている一つの要因となっているのではないかと予想される。
妊娠率や分娩率を同一の施設で比較した場合、また、同一の移植胚数で比較した場合、胚盤胞移植がもっとも妊娠率が高く、ついで分割期胚移植となる。同じ条件で比較した場合は凍結融解胚移植の成績はやや劣るのが普通である。
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土屋のメモ
○分割期胚移植は中学校のようなもの。3日目8分割胚。
○胚盤胞移植は高校生のようなもの
○3個の分割期胚があれば、胚盤胞まで成長させましょう。
○3個もどすと30%の妊娠率。双子は20%できる。
○凍結融解胚移植は20%妊娠率が落ちる。(欧米のデータでは)
○ARTの目的は健常児を得ること。
○1個の胚盤胞しか得られず、やむを得ず1個の胚盤胞を移植する方法は非選択的単一胚盤胞移植である。分割期胚でも同様であるが、いくつかの良好胚の中から最も優れた単一の胚を選択し移植することが、健常児を得るための条件。
○日本産科婦人科学会では35歳未満の女性においては単一胚移植を行う事とし、35歳をこえる女性においては2個胚移植を認めている。35歳未満の女性では少なくとも3回は単一胚移植を行わなければならないことになっている。