おはようございます。
薬剤師、不妊カウンセラーの土屋幸太郎です。
今日も晴天で月山や葉山が綺麗に眺められます。遠く朝日連峰も白い帽子が素敵です。
さて最近もしっかり勉強している中医学の本の話題です。(中医学とは中国の伝統医学、つまり中国漢方のこと。理論体系がしっかりしているので多くのお客様に効果を再現しやすいです。)
<2015年3月16日撮影>
もともと土屋薬局は昔から、そう20年ぐらい前からお客様の層は常に代わりますが生理不順、無月経の漢方相談が多かったのです。
最近は閉経の漢方相談、早発閉経 POF など難治性であると言われている漢方相談も増えてきていますから、中医薬研究会で習ったこと以外にも自主的な学習をしています。
さて柴松岩先生の本です。
月経病の中でも閉経についての記載が多く、これまで
原発閉経、多嚢胞性卵胞による閉経5案、早発閉経による医案が4つ。(中国では卵巣早衰と言っています)
人工流産からの閉経1案
そして今、読書しているページの高プロラクチン血症からの閉経1案となっています。
27歳の未婚の女性。北京中医医院2003年2月のときが初診です。
北京のいまは3月ですから、風が強いことと思います。昔、イスクラ高円寺研修塾の卒業研修で北京中医医院に行ったことがあります。
この時期の北京はまさにYMOの東風よろしく、強風が吹いています。ちょうど北京中医医院でお昼ご飯を食堂で食べ終わって外に出たら、北京中医医院の看板が落ちてきたのを見たんですよね。懐かしい思い出です。
さてさて、FSHやLH、E2の値も正常ですか、プロラクチン PRLは300を超えていて生理が止まっています。MRI検査では脳下垂体にはプロラクチノーマの腫瘍はありませんでした。
弁証は脾腎不足、肝鬱不疏
患者さんは平素から海鮮食品や魚類を喜んで食べていたので、体に湿濁が溜まり、疏泄を邪気が阻害して必然的に内熱となり、毒となった。
麦芽に関する記述もあります。
当店でも高プロラクチン血症に今まで幅広い応用がありました。
麦芽は生麦芽、炒り麦芽などによっても使い方が違いますし、少ない量を使うか、多めに使うかでもコツがあります。
結局、その年の12月にはプロラクチンは56まで下がって自発的「生理が来るようになりました。
<按語>
中医の古典では本病は、閉経、乳泣、月経過少、不妊の範疇に相当する。
現代医家の考え方は肝鬱気滞が主、腎虚、脾虚などの影響により肝の疏泄機能が影響を受ける。
治則は解鬱、あるいは健脾、あるいは補腎
柴松岩先生は独特な観点を持っています。
ここからは大変に参考になるのですが、一つは高プロラクチン血症は「毒」が影響している。
その理由の一つは薬物の毒性、つまり高プロラクチンは一部の胃薬や抗うつ剤などの副作用が原因であるときもあります。ちょうきに渡り連用している、または過度に薬を服用した経験があること。
その2としてリウマチなどの疾患や肝炎、悪性腫瘍による毒
その3は六淫の邪気などが毒になること
乳房は陽明の経絡、大腸も陽明の経絡
二陽に病変があれば毒は熱となり、上部に影響を与える。
すなわち乳汁が鬱積して、乳房は張って痛くなる。
ゆえに柴先生は高プロラクチン血症の患者には必ず便の状態を聞く。
毒熱から高プロラクチン血症が発生しているという説である。
その後は中医学における高プロラクチン血症が「毒熱」も認識しての臨床上の漢方の使い方について説明があります。ここらは省略します。
以上、高プロラクチン血症の漢方対策、毒熱学説という新しい認識にらおける中医学の知恵の勉強でした。