南京の国医大師の夏桂成先生の婦科臨床心得の読書が順調に進んでいます。
「不妊不育症方薬心得」と「妊娠病方薬心得」と学習して、そろそろ最後に近づいてきています。
今は第13講 「産後病方薬心得」の段落です。
第1番目の漢方処方は加減生化湯です。
日本では馴染みのない処方ですが中医学では生化湯は有名です。
生化湯とは、まさに化生湯。
すなわち化瘀生新(かおせいしん)という意味になります。
古血(ふるち)、(こけつ)などの体内に淀んだ、いわゆる瘀血(おけつ)をスッキリさせることにより、新しい血を生み出します。
産後の子宮を復旧させる方剤です。
で、夏桂成の一門は生化湯を加減して使っているので、そのオリジナルを加減生化湯と命名している訳です。
生薬は以下から成り立ちます。
当帰、川芎、桃仁、炮生姜、炙甘草、山査子、炒荊芥、益母草
夏桂成の一門では、柴胡(さいこ)は体を乾かす恐れがあるので、その性質を嫌って代わりに荊芥(けいがい)を用いています。
第1回目の南京不妊症周期療法研修団のときに私も参加して、夏桂成先生に荊芥(けいがい)について質問しましたら「それはとても良い質問です。何故、荊芥を使うのですか?という問いは南京中医薬大学の院生レベルです!」と褒められたのは懐かしい思い出です。
益母草(やくもそう)も名前の意味するように、中医婦人科ではとても大切な生薬です。
日本だと一貫堂の有名処方の芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)などに益母草が含まれています。
活血調経、利水消腫、解毒の働きが益母草にあります。
当帰(とうき)は補血活血の効能があり、こちらも袪瘀新生(きょおしんせい)の働きがあります。
当帰は我が家でも栽培していますし、漢方の世界でも繁用されているもので非常に馴染み深いものですが、袪瘀新生の言葉に改めて「ハッ!」と目から鱗がボロボロと落ちた次第です。
四物湯や当帰芍薬散、婦宝当帰膠など婦人の漢方では当帰は大活躍です。
「当に健康な体に帰る」から当帰と言われるだけあります。
桃仁は桃の種です。
仁とは種のこと。
例えば杏仁豆腐でも有名な杏仁(きょうにん)は杏(あんず)の種という意味になります。
数年前に不妊症カウセリング学会に参加して終了後、仲良しの漢方の先生たちと虎ノ門の居酒屋で懇親会をしていましたら、知り合いの薬剤師の先生が「私、妊娠中には流産したくないから桃を食べなかった」というエピソードを聞きました。
つまり桃の種が活血するので、そのイメージから妊娠中は避けたいと考えたことのようです。
女性の中医師の先生も「その考え方はあり得ますね」と言っていました。
ということで漢方の話題でした。
最後に今日の山形新聞の写真から描いた月山でお別れです。
とても綺麗な写真だったので参考にさせて頂きました。
山形新聞さん、ありがとうございます。
「寒河江川の堤防から残雪の月山を望む」
河北町の溝辺からの風景です。
ちなみにS字カーブの道を2台の自転車の高校生も描いています。
絵の方は、知り合いにも妻にも観てもらっていますが「だんだん前よりも上達してきた」とのことです!