「ザウエルという犬がいるよ。
しっぽがまるで箒のようだ。
ぼくが行くと鼻を鳴らしてついてくるよ。
ずうっと町の角までついてくる。
もっとついてくることもあるよ。
今夜はみんなで烏瓜のあかりを川へながしに行くんだって。
きっと犬もついて行くよ。」
「そうだ。今晩は銀河のお祭だねえ。」
「うん。ぼく牛乳をとりながら見てくるよ。」
「ああ行っておいで。川へははいらないでね。」
「ああぼく岸から見るだけなんだ。一時間で行ってくるよ。」
宮沢賢治 「銀河鉄道の夜」より
<2015年8月7日>
若木山の周囲を歩きます。
山の脇のブロックには蔦となった葛(くず)がびっしりと生えています。
これはお昼でも咲いているヒルガオです。
烏瓜(カラスウリ)の花です。
可憐ですね。
つる植物なのでフェンスなど支えるところに繁殖します。
秋田県のわらび座 「銀河鉄道の夜」の舞台を花巻公演で観劇しましたので、烏瓜を手にお祭りに向かう子供たちのシーンが実に印象的で散歩をして烏瓜の花を見つけるたびに、嬉しくなってしまいます。
心は銀河鉄道の夜へワープします。
こちらはフェンス越しに自生していた、烏瓜の花と葛の花です。
葛の根っこは葛根湯の葛根(かっこん)として漢方界では大変に有名です。
本邦初公開だと思います。
若木山の裏側です。
そのようなわけでして宮沢賢治ワールドに心を惹かれながら過ごしているひと夏です。