第18回不妊カウンセラー・体外受精コーディネーター養成講座
2006年5月27-28日 会場 ニッショーホール
主催 日本不妊カウセリング学会 運営 日本生殖医療研究協会
前日の金曜日が「日本不妊カウンセリング学会 第5回総会・学術会」で、
土日の2日間が不妊カウンセラーや体外受精コーディネーターの受験資格を得る養成講座でした。
金曜日のときは、日本の薬剤師で参加した人は多分私一人だけです。
(ちょっと自慢)
この土日の大会には、私の知り合いの薬剤師の先生たちも来ていましたので、
気分的には楽でした。
その中の一人の先生は、もう15年以上前からの知り合いで、
すでに不妊カウンセラーの資格を持っていらっしゃる立派なかたで、
一緒に一番前の席で講義を聞きました。
私が参加したときのプログラムの紹介です。
1日目
2006年5月27日(土)
生殖医療の基礎知識
「生殖医療の歴史:不妊治療はどのように発展してきたか」
国際医療技術研究所IMTCollege 荒木重雄先生
「はじめに」
旧約聖書の創生記には「産めよ増えよ地に満ちよ」という言葉が記載されている。
この文章は多くの子どもを得ることは人類にとって価値のあるものという考えを反映したもので、人々は不妊を大きな災いと見なしていた。
また、創生期には「私に子どもを授けて下さい。さもないとわたしは命を絶ちます」という意味の言葉も記載されている。
不妊は古代文明の時代から大きな悩みの一つで、神に頼るほかにすがるものがない時代から、非科学的医療の時代を経て、今日の体外受精の時代に至った。
不妊をめぐる医療の変遷をたどることによって、今日の生殖医療に対する認識を深めることができるのではないかと思われる。
1969年 イギリスでヒトの卵を体外で受精させることにはじめて成功する。(受精卵は実験後すぐに廃棄された)
きっと悩んでいたのであろう。
余談ですが、これは、裁判沙汰になった。
なんで私の卵を戻さなかったのか?戻したら妊娠できたのではないか?と裁判を起こされて、結局医療側が敗訴した。
1978年
イギリスで世界初の体外受精児 ルイーズ ブラウンが誕生する。
当時「試験管ベイビー」として大いに話題になった。
余談ではあるが、当時のイギリス社会ではカトリックが強かったために、宗教界の反発が強く、最初はブラウンちゃんは人間として認められなかった。
ところが、ローマ法王のお許しがでて、事態は収まった。
このときの体外受精は、LHを2時間ごとに確認してから、35時間後に採卵した。
自然採卵。
これでは医師の負担が大変なので、体外受精は世界に広まらなかったが、経膣超音波などの科学技術の発達により医療側の負担が減ったので、体外受精は普及することとなった。
ルイーズ ブラウンさんは、一昨年に子どもを元気に出産したので、ちょうどARTにおける世代が巡ったので、実に感慨深いことである。
「ICSI(卵細胞質内精子注入法) ホールディングピペットで卵を支えます」
こうして不妊治療の過去からの歴史とエビデンスについて学びました。
最近話題の「着床前診断」についても勉強しました。
明日の生殖医療を学ぶ
「習慣性流産における着床前診断の展望と限界」
名古屋市立大学大学院医学研究科
生殖・発生医学分野 杉浦真弓先生
(名古屋市立大学は、習慣性流産を研究している日本でも有名なところです)
…
カウンセリングとケアの基礎
「不妊カウンセリングに求められているもの<Ⅲ─3>
~心理カウンセリングの事例から考える~」
心理カウンセラー 赤城恵子先生
特別講演 「親になること、家族になること」
…
2日目
2006年5月28日(日)
生殖医療の基礎知識
「一般不妊治療の基礎知識」
聖路加国際病院女性総合診療部・生殖医療センター
佐藤孝道先生
最新の海外の文献より、エビデンスを勉強していきます。
婦人科の先生たちと一緒に勉強します。
明日の生殖医療を学ぶ
「男性不妊治療とART」
帝京大学医学部泌尿器科
岡田弘先生
「TESE(精巣精子採取法)などの勉強をしました。とても有名な先生です」
生殖医療の基礎知識
「目で見るエンブリオロジー」
高度医療技術研究所
荒木康久先生
カウンセリングとケアの基礎
不妊カウンセラーの活動報告
以上のようになります。
また、機会をみつけて感想などをアップできたらと思っています。
講演された先生たちは、教科書を執筆されていたり、
日本でも名前が通っている先生方ですので、
あらためて最新の医療の話、エビデンスを聞くと同時に、
私は良い機会に恵まれたと感謝しております。
最後に、「生殖医療の歴史:不妊治療はどのように発展してきたか」を講演された荒木重雄先生の「おわり」から文章を引用させて頂きます。
「旧約聖書に「産めよ増えよ地に満ちよ」という言葉が記載されているように、多くの子供を得ることは人類にとって極めて重要なことで、人々は不妊を大きな災いと見なしていた。不妊の女性は「わたしに子供を授けて下さい。さもないとわたしは命を絶ちます」とういう意味の言葉に現されているように、重い重圧を背負っていた。生殖は神の手にあった長い期間を経て、17世紀には精子が発見され、女性の生殖器の解剖学的研究が進み、18世紀には近代的な不妊治療へ一歩が踏み出された…
旧約聖書の時代から、体外受精(ART)に至るまでのお話を伺っていますと、私まで長い人類の歴史をタイムマシーンで旅したような気持ちになりました。
深遠な世界です。