生理痛、お腹が張るなど漢方薬のご相談では、とくに不妊症のときには生理痛の有無、生理の状態など、症状をお聞きすることが大切です。
「生理痛がない、血塊がない」ことなどは大切です。漢方薬の業界では「生理痛は無いのが当たり前」と言われています。
生理痛、月経痛を和らげて、生理、月経の状態を良くするだけでも妊娠して子宝に恵まれたケースも沢山知られています。
まず不妊症の子宝相談では月経の初潮年齢をお聞きします。早いのか遅いのか。多嚢胞性卵巣症候(PCOS)などでは月経開始の年齢が15歳と遅めのこともあるようです。
これは腎虚(じんきょ)と関係があります。
次に月経周期が28日より早いのか、遅いのか。月経周期で個人差があり月経周期が25~26日など早く来るタイプと月経周期が32~35日など遅めに来るタイプがありますので、そこを分けて漢方相談をしていくと妊娠する確率が高くなります。生理の月経期間は5日間から1週間が正常です。もし3日間ぐらいで生理が終わるのでしたら虚証です。血虚や気血不足などがあります。
funin-kanpo.hatenablog.com
逆にダラダラと7日間から10日ぐらい生理が続くような場合には「熱」「血熱(けつねつ」など関係があります。
血塊は普通は塊はないのが正常。もしあったとしてもちょっとだけです。
毎回、血塊が生理に混じるような場合には今回のコラムの気滞(きたい)や瘀血(おけつ)と関係します。そして月経の痛み、生理痛のことです。シクシク痛むような生理痛は虚証(きょしょう)になります。気血不足や血虚(けっきょ)、陽虚(ようきょ)によるものです。
「栄えざればすなわち痛む」の虚証の生理痛です。針で刺されるようなチクチクする生理痛は瘀血(おけつ)です。
「通じざればすなわち痛む」の実証の生理痛の痛みです。
カイロなどでお腹を温めていると生理痛が楽になるような場合には陽虚による生理痛。寒さが胞宮(ほうきゅう)の経絡の流れを阻害するので痛みが生じます。陽虚血瘀(ようきょけつお)の痛みに相当します。
<つらい生理痛>
生理痛は子宮を収縮させて経血を外に出すときに起こる痛みです。生理痛が辛い方は出産時の陣痛にも似た痛みのときもあります。
女性は毎月の生理を体験することでいわば陣痛の痛みを乗り越えられるように練習しているとも考えられます。
ただし生理痛の度に寝込んでしまうほと痛みがひどい場合には「月経困難症」とよばれます。
痛みの背景には病気がひそんでいることもありますから我慢しないで婦人科の診察を受けましょう。
<生理痛の一般的な原因>
経血の通り道が狭い
生理の痛みは子宮の下部にある細くて長い子宮頸管を経血が通過するとき出口が広げられて起こる痛みです。若い女性や出産経験がないと子宮頸管が未熟だったり狭くて硬いので、生理痛が酷くなりがちです。
押し出す力が強すぎる
生理のときには経血をスムーズに排出できるように子宮内膜からプロスタグランジンというホルモンが分泌されます。
プロスタグランジンには子宮の収縮を強める働きがあり、プロスタグランジンを多く合成する体質の人は子宮を収縮させて経血を押し出す力が強すぎてます。生理のたびに陣痛に近い痛みになったり、胃痛、下痢を起こすこともあります。
冷えやストレスなど
痛みは生理のときに冷えて血行不良になることでも起こります。
冷えて血流が悪くなっているとプロスタグランジンの分泌量が多くなるのです。
また骨盤内にうっ血があると痛みの物質が留まるので、ますます痛みが酷くなります。 冷えには注意。冷えは禁物です。
心理的な問題で生理そのものを否定的に考えてしまって生理痛を強く感じたり。
<生理痛の考えられる病気>
子宮内膜症
子宮の内側をおおう子宮内膜が別の場所で増殖する病気です。
子宮以外にできた内膜は、子宮内膜と同じように生理のたびに増殖と剥離を繰り返します。
血液の出口がないために、その場所に溜まって血豆や血腫のようなものをつくり毎回破れて痛みを引き起こします。
子宮筋腫、性感染症(STD)などによる炎症、卵巣嚢腫
生理痛を楽にするセルフケア
温める
足腰を温めると血行が良くなり痛みが楽になります。お腹や腰に携帯用のカイロ、貼るカイロを貼って温めます。入浴のときには温めのお湯にゆっくりと浸かります。
寒い日にはスパッツを履いたり、腰回りをすっぽりと覆う服装でからだを冷えから守ります。
骨盤を緩める
腰骨の飛び出している高さにストッキングやゴムバンドを強めに巻きます。両足を肩幅に開きます。 腰に手をあてます。 円を描くようにゆっくりと腰を回します。 右回し、左回しをそれぞれ約20回ずつ行います。
骨盤を緩めて骨盤内の血行を改善してうっ血を取り除きます。
下半身の血流を良くする
楽な姿勢で椅子に座ります。 かかとは床につけます。ゆっくりと両足のつま先を天井に向けます。足首を90度の角度に曲げて5つ数えます。ゆっくりともとの位置に戻したら次につま先を前に向けます。 足首と足の甲をしっかりと伸ばします。 同じように5つ数えます。
これを5回ずつ行います。下半身の血流をよくして、浮腫もスッキリします。
軽い運動をする
床や椅子に座って軽く左右に腰をひねったり、散歩をしたり。足腰の血行を良くすると痛みも和らぎます。
あおむけに寝て膝を抱え込んだ姿勢で10秒静止し足を伸ばして脱力を10回繰り返すストレッチも効果的です。
足浴、腰浴
足浴、腰浴は下半身の血液循環を改善します。生理の痛みには効果的です。足浴はバケツまたは大きめの洗面器に熱いお湯(41~42℃くらい)をいれます。くるぶしまで浸して15~20分ほど温めます。
ポットのお湯を用意して途中でぬるくなったらお湯を足すのがコツです。
生理が重いときでもテレビを見たり、本を読んだり、好きなことをして時間を過ごせます。 腰浴はみぞおちまでくるように湯船に自分に心地よい温度のお湯をはります。
こちらも15~20分ほどです。
肩が冷えないようにタオルやTシャツを肩にかけます。 足浴も腰浴も額に汗をかくまで温まるのがポイント。
食事
血液循環を良くする食べ物を積極的にとります。 血行が良くなり、冷えにも強くなります。 生理痛や月経困難症の痛み、辛さの解消にも。
ビタミンEには血流を改善する働きがあります。 ナッツ類やごま、かぼちゃ、うなぎ、ニラなど豊富です。
玉ねぎやにんにく、ニラなどに含まれるアリシン(匂いのもと)、生姜の辛味成分(ジンゲロールなど)にも血液循環を良くする働きがあります。香味野菜も上手に利用します。
生理痛の漢方薬
漢方薬は体全体のバランスを整えます。 体の不調を改善していきます。長く飲むことでじっくりと効くのが特徴です。
即効性よりも女性特有の生理痛や生理不順。
冷え性や肌荒れ、便秘などに。
漢方薬では生理痛は「痛経」と呼びます。痛みのある月経という意味です。
漢方薬の「痛経」には生理不順を伴う生理痛、子宮内膜症や子宮腺筋症などの強い痛みなども含まれます。
<生理痛のタイプ別漢方相談>
あなたの生理痛はどのタイプ?
ここで今回は不妊症でも気滞(きたい)タイプの生理痛、つまりストレスやイライラ、「お腹が張るような感じの生理痛」のタイプのご紹介になります。各種、いろいろなタイプの生理痛がありますから漢方薬のチェックポイントはその都度、はてなブログで紹介させていきますね。
1)気滞瘀血 生理前に痛み、イライラ、症状が強く出やすいです。 肝臓の気滞で起こりやすいです。 情緒不安定。イライラ、ストレス、憂鬱、怒りっぽいなど。
<不妊症の気滞タイプの生理痛の症状とは?>
生理前、あるいは生理中に下腹部が張って痛くなる。 張る症状は気滞、つまり気の鬱結です。 生理前の症状が辛くなりやすいです。
押すと痛い。実証だからです。生理の量が少ない。気が詰まっているのでスッキリと生理が排出されない出血の色が黒かったり、血塊がある。生理前や生理中に胸や脇腹の痛み、乳房の張りがある。舌は紫暗
<気滞瘀血タイプの生理痛の漢方薬>
イクスラ婦宝当帰膠をベースに、イスクラ逍遥丸(逍遥散)、加味逍遥散、イスクラ開気丸、柴胡疎肝湯、イスクラ冠元顆粒、血府逐瘀湯などなど
以上、今回は不妊症において子宝相談では「生理痛、生理痛の漢方薬の相談で生理前後にウエストが大きくなったり、スカートが履けなくなったりする」ことの漢方薬、中医学の立場からの解説でした。
生理痛を中医学、漢方薬の知恵でぜひ和らげていきましょう!
生理痛、月経困難症を軽減した結果、ぜひ不妊体質改善で子宝に恵まれて頂きたいです。