ブログ版土屋薬局 中国漢方通信

土屋薬局ブログ。薬剤師・不妊カウンセラーの土屋幸太郎がお届けします。私自身、不妊体験を経て、漢方療法の力で子供に恵まれました。その経験を活かし、皆さんに健康で幸せな家庭を築くお手伝いをしたいと思っています。薬局には女性薬剤師も在籍し、気軽にご相談いただけます。健康に関するお悩み、不妊治療、妊活相談、痛みやしびれに関する漢方相談など、お気軽にご連絡ください。お問い合わせやご予約は☎️ 0237470033までお願いします。一緒に幸せな未来を築きましょう。

花粉症と漢方療法、蕁麻疹、顔面神経麻痺に中医学漢方…衛益顆粒の臨床応用

「花粉症と漢方療法」…中医学における風とは

遅くなりましたが、1月30日に仙台市中央市民センターで行われた「平成17年度南東北中医薬研究会 総会・定例会」での勉強会を報告します。

前回アップした「春節」からほぼ1週間ぶりの更新になります。(本当に正月休みを中国風にしていたのではなくて、相談業務など多忙で更新できなかったのです。(言い訳)

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「衛益顆粒の臨床応用 花粉症の予防と治療」

講師は、日本中医薬研究会が誇る武藤勝俊先生です。

武藤先生は、北京で留学して本場の中医師の資格をお持ちの先生で、講義は分かりやすくて面白いです。

個人的には、私は大好きです。

武藤先生の講演だったら、眠くならずに楽しく勉強できますから。。

さて、講義の要点をまとめましょう。

1.衛益顆粒の紹介

衛益顆粒は、玉屏風散(ぎょくびょうぶさん)を元に作られた。

玉屏風散の命名

玉(ぎょく)=素晴らしい

屏風(びょうぶ)=風を防ぐ

つまり玉屏風散(衛益顆粒)は、体に屏風を立てて風邪や花粉症の邪気(表熱、表寒など)から体を守っていきます。

皮膚や粘膜のバリア力を丈夫にして、悪い風邪(ふうじゃ)の侵入を防ぎます。

中医学による風(ふう)とは…

「風為六淫之首」

風邪(ふうじゃ)は、人体に病気をもたらす邪気の中で唯一移動する性質をもちます。

風邪は通常は単独ではなくて、他の病気をつれてくる親分のようなものです。

風邪(ふうじゃ)、または風邪(かぜ)を予防することは、いろいろな病気を予防することにつながっていきます。

日本でも「風邪は万病の元」と言いますね。

風邪(ふうじゃ)による病気の特徴

①「風為陽邪」「易傷人体陽位」

陽位とは、体表や・体の上部を指す。

つまり風邪(ふうじゃ)による病気は、このような場所に多く発症する。

体の上部の疾患の頭痛や喉痛、風疹(皮膚湿疹)などになりやすいです。

②「善行」「数変」

善行とは、発症部位が一定しないこと。

数変とは、症状が現れたり消えたりすること。

症状が急に現れ、発症する部位がよく移動する疾患→花粉症、風湿病(リウマチ)など

蕁麻疹と漢方薬」では、血熱(けつねつ)の話に重点を置いていますが、血熱(けつねつ)と同時に突然に痒みが来たり、皮膚が赤くなることは、急性の症状ですので「風邪(ふうじゃ)」も絡んでいます。

蕁麻疹の急性の症状の風邪(ふうじゃ)を治すには、一つの鉄則があります。

「風を治すには、血を巡らせよ。血行けば、風自ずと滅する」という深遠な世界がありまして、まずは体の土台である陰血(いんけつ)を補っていけば、「風邪」の「陽邪」も舞い上がることが無くなり蕁麻疹の発作が減っていくという訳です。

地味ですが、地道に「陰血」という体の土台を補ったり、血行を促していけば、蕁麻疹対策の漢方として成功です。

③「開泄(かいせつ)」

開泄とは、こじ開けて、発散するということで、すなわち汗穴を開き発汗させ、気や津液(しんえき)奪う性質がある。

汗をかきやすい、風に当たるのを嫌がる。→多汗症の易感冒。悪風など。

先ずは守りを固めることが先決で重要である。

つまり対策が大事で、体の防衛するバリア力が弱いと(衛気不固)ですと花粉症の量やインフルエンザなどに左右されやすくなります。

④「主動(しゅどう)」

弱い風ではふるえ、強い風では硬直あるいは半身不随などの運動障害が現れる。

自覚症状としては、かゆみ、しびれ、目眩も風による症状である。

運動障害・しびれ・かゆみ・めまいなどが現れる疾患

→肝陽化風(高血圧など)

→中風(脳梗塞後遺症など)

血虚生風(めまい、しびれ)

中医学では、よく「麻木(まき)」という単語を「しびれの表現」として使用しています。

「麻」とは、意味は「しびれ」のことです。

皆様、麻婆(マーボー)豆腐の辛さを思い浮かべて頂ければお分かりだと思いますが、この「麻婆(マーボー)」の意味も「しびれて辛い」ということを指しています。

「木」とは、「しびれが硬くなった」ことです。

つまり「木のようにしびれが硬い」と考えてください。

さて、内風(ないふう)の治療としましては、おもに熄風(そくふう)の方剤を用います。

たとえば、中医学的に「風」が強いと考えられる症状としましては、顔面神経麻痺が挙げられます。

中国の鍼灸の治療では、20日間毎日針を打っていきます。

漢方薬では、日本では顔面神経麻痺の予防と治療には、衛益顆粒に独活寄生湯を併用します。

衛益顆粒と独活寄生湯は、正気(つまり抵抗力のこと)を上げて、顔面神経麻痺の主要な邪気─風邪(ふうじゃ)を追い払います。

また独活寄生湯の去風散寒除湿の効果と気血(きけつ)や肝腎を補う働きも生きてきます。

衛益顆粒を併用することにより、衛益顆粒の黄耆(おうぎ)の補気と邪気を追い払う働きがミックスされますので、顔面神経麻痺の表治と本治に役立ちます。

「通じざればすなわち痛む、痺れる」ですから、顔面を侵している風邪(ふうじゃ)を経絡上から追い払っていき、体の気血(きけつ)や「肝腎要(かんじんかなめ)の「肝腎」を補っていけば、不快な顔面神経麻痺の緩和に役立つという訳です。

以上ですが、文章が長くなりましたのでまた来週に「花粉症と漢方療法」の続きをアップします。

中国漢方通信の「先手!必勝花粉症」と「先手必勝!花粉症…花粉症は予防が一番」なども参考にして頂けましたら嬉しいです。

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啓翁桜」です。

可憐できれいな桜ですよね。

春が待ち遠しいです。

本家 「土屋薬局 中国漢方通信」もどうぞよろしくお願い致します。