ブログ版土屋薬局 中国漢方通信

土屋薬局ブログ。薬剤師・不妊カウンセラーの土屋幸太郎がお届けします。私自身、不妊体験を経て、漢方療法の力で子供に恵まれました。その経験を活かし、皆さんに健康で幸せな家庭を築くお手伝いをしたいと思っています。薬局には女性薬剤師も在籍し、気軽にご相談いただけます。健康に関するお悩み、不妊治療、妊活相談、痛みやしびれに関する漢方相談など、お気軽にご連絡ください。お問い合わせやご予約は☎️ 0237470033までお願いします。一緒に幸せな未来を築きましょう。

第22回不妊カウンセラー・体外受精コーディネーター養成講座に参加して

毎月、5日と15日には、まぐまぐより、

土屋薬局中国漢方通信メールマガジンを刊行しています。

本日5日10時には、読者のかたに配送されますが、

先ほど9時52分のぎりぎりに滑り込みセーフで第90号を作成しましたので、

ここに紹介したいと思います。

同時に、「第22回不妊カウンセラー・体外受精コーディネーター養成講座」への

感想コラムにもさせて頂きます。

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●●  1.巻頭コラム 「出自を告知するということ」

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「出自を告知するということ」

第22回不妊カウンセラー・体外受精コーディネーター養成講座に参加して

5月31日~6月1日に東京虎ノ門ニッショーホールにて、

日本不妊カウンセリング学会主催による

「第22回不妊カウンセラー・体外受精コーディネーター養成講座」が

開催されましたので、そのときの演題の紹介と感想を述べたいと思います。

第22回不妊カウンセラー・体外受精コーディネーター養成講座プログラム

○生殖医療の基礎知識

「ARTの質的向上に必要な単一胚移植をめぐって」

○カウンセリングとケアの基礎

不妊カウンセリングに求められているもの

不妊状態の心理と社会背景を理解し、対応に生かすには~」

○明日の生殖医療を学ぶ

「出自を告知するということ」

○カウンセリングとケアの基礎

不妊カウンセラーの認定を受けて

~現役不妊治療専門ライターとしての活動報告~」

○生殖医療の基礎知識

精子卵子・胚の凍結─技術の進歩とカップルへの説明」

○生殖医療の基礎知識

「子宮腺筋症と不妊

<私の感想>

心に残ったことは、2つあります。

大阪の社団法人「家庭養護促進協会」の理事

岩崎美枝子先生による講演と、

加藤レディスクリニックの先端生殖医学研究所の

桑山正成先生の講演です。

ここでは、岩崎先生の「出自を告知するということ」について語ります。

岩崎先生の講演は、実に45年間もの期間に

実親に育てられない子どもの代わりに家庭(里親や養親)を

新聞紙上で呼びかけて探すという「あなたの愛の手を」運動の話でした。

不妊治療のために、子どもをあきらめたカップルなどが、

養子をもらった後に、いかにして、子どもに養子であることを告白するか、

などを1時間半に渡り講演されました。

子どもに、実は二人の血はつながっていないことを話すには、

小学校に上がる前、なるべく小さいうちが良いこと。

また成人してからでも、その事実は話していたほうが良いことなど、

子どもが自分のルーツ探し、実の親探しに悩んだり、

また両親から何かの秘密があるのでは?と

悩まないようにしてあげたいというのが趣旨でした。

以前にも、不妊カウンセリング学会で涙を流して聞いた話に

「親になること、家族になること」

http://tutiya.cocolog-nifty.com/kanpotusin/2007/03/post_c8af.html

がありますが、産みの親と育ての親の問題や、

告知についてなど、深く考えさせられる講演でした。

またAID(非配偶者間人工授精)でも、その告知についても語られました。

日本では、AIDによって生まれた子どもたちが、

1万人以上もいるのに、そのほとんどが秘密にされているのです。

ある母親の苦悩は、子どもが産まれてから始まったと言います。

赤ちゃんの顔を見るたびに、家族や周囲のものが、

「お父さん、お母さんのどちらに似ているかな?」と

喋ってくるので、何ともいえない、言い返せない自分がそこにいたそうです。

AIDとは、世間的には「精子バンク」や、頭の良い医学生精子などを使っているとも

言われていることで、皆様もご存知だと思います。

男性の精子が無い場合などに、他人の精子を使って、

自分の妻に人工授精をしてもらう方法です。

子どもは、家庭の中で、何となく自分に秘密にされていることがあることを

うすうす感じながら成長していくそうです。

子どもの福祉のためには、出生のことも教えておかないと、

将来のためになりませんので、里親の養親についても、

AIDの子どもたちにも、「告知」することが大切になってきます。

話を聞いていて、私は、自分は血のつながった両親がいて、

また妹たちや甥っ子たちもいて、本当に幸せだなあ、

「家族の絆」があることは当たり前だったはずだけども、

そのことに改めて感謝しなければならないんだなあと思いました。

「父さんと母さんには、なかなか子どもが産まれなかったんだ。

でも私たちはどうしても親になりたかったから、

いつも神様にお願いしていたんだよ。

そしたらこんなに可愛いあなたに出会えて、

あなたを私たちの子どもにできたことをとても幸せに思っているし、

あなたが父さんと母さんの子どもであることをとても満足しているよ。

私たちは「本当の親子なんだ!」」

「あなたに出会いたかった。あなたに出会えてよかった」

薬剤師、国際中医専門員、不妊カンセラー 土屋幸太郎

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●● 5.編集後記 「卵巣組織の凍結」

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不妊カンセラー養成講座での続編の話です。

加藤レディスクリニックの桑山先生の先生の話は、

精子の凍結技術、また胚の凍結保存、卵子の凍結保存、

そして今や卵巣組織も凍結に成功したという、

驚異的な科学技術の発展が語られました。

今までは、とくに卵子は胚にくらべて

安定した存在ではないので、凍結が難しいと言われてきたのですが、

ついに成功する時代になったそうです。

そうなると、時代はどうなるか?

卵子の凍結保存の適応

1)IVF時の事故的精子不在症例

→NYの患者さんで、主人飛行機が事故で遅れてしまった。

すぐに卵子を凍結保存して、NYから精子を凍結して

宅急便で送って後から妊娠に成功した。

2)悪性腫瘍患者(未婚女性)の妊孕性保存

3)無精子症患者の精巣内精子を用いたICSI治療機会増大、負担軽減

4)余剰胚作出の回避(IVF効率化による治療負担の軽減、宗教、思想的理由)

キリスト教では、「受精卵は人間である」と考えているので、

余剰胚を作らないことが喜ばれる。

5)エッグドネーションバンク

6)キャリア女性の卵子セルフバンク

若いとき、35歳までの間に卵子を凍結保存していて、

20代、30代のうちには仕事に打ち込んでキャリアを上げていく。

そして実績と地位を上り詰めた40代に、凍結卵子を使って

妊娠、出産するという人生設計。

実際にアメリカでは、そういう時代になっている。

7)IVFエキスプレスサービス

100人以上がこの方法で生まれている。

たとえば、アフリカから卵子を国際宅急便で送ったりすることなど。

などなど、最近の生殖医療の話を聞きまして、

多少複雑な気持ちになりながら、終了後にタクシーに乗りました。

「運転手さん、ついに時代は、卵巣も凍結できる時代になったらしいですよ!」

「お客さん、そうすると、たとえば死んだ妻の卵巣も保存してあれば、

誰かに移植すれば、妻の子どもが出来るんでしょうかね?」

(卵巣1平方センチメートルで2年は生理があるそうです)

うーん、ますます複雑な気持ちになりながら、皇居を抜け、

東京駅の丸の内側にタクシーが到着したのでした。

編集長 土屋幸太郎

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<2008年5月31日 「雨の日比谷公園」>

余談です。2008・6・6日追記…ユーチューブでブルーハーツを見ていたら、日比谷野音でのコンサートがありました。このとき、18歳だった私は、ヒロトマーシーと一緒に飛んでいました。泣けてきました。このときは、映像を見てもお分かりのように、ラフィンノーズのコンサートで3人将棋倒しで観客が死んだあとのライブだったために、厳重な警戒だったのです。ライブ熱いでしょう!「終わらない歌