昨日のお話しの続きです。
疼痛性月経病方薬心得
本は南京の夏桂成先生の婦科方薬臨床心得15講です。
いわゆる漢方薬で生理痛、月経痛を緩和すること。
しいては不妊症周期療法なので生理痛を軽減することは、妊娠、子宝に恵まれやすくなることに繋がります。
生理痛も順序だてますと、月経期→卵胞期→排卵期→黄体期とすべて有機的に関連しています。
とくに生理痛がひどいときには、生理が始まってから漢方薬を服用するのではなくて、たとえば5日前から服用していく。
周期療法ではもちろん黄体期の高温期は妊娠に必要な時期なので、しっかり補陽していきます。
月経血は陰血で「陰」の性質を持ちますから、「先手必勝」の精神で一歩手前の段階の高温期から温めていき、生理前からしっかりと生理痛対策をしていきます。
昨年など中医不妊症お茶の間講座で陳先生に相談しますと「生理痛は高温期からの補陽をしっかりが大切なんですね!」と明るく語られていました。
さて夏桂成先生一門の逐瘀脱◯湯などの生理痛対策の経験談のご紹介です。
⭐️魯さん26歳
山東省済南出身でいまは南京に住んでいて工場勤務です。
生理痛のときに「子宮内膜」いわゆるコアグラ状の塊を排出するような激痛がここ10年続いていて、とくに近年では症状の生理痛が悪化してきています。
初潮は14歳、月経周期は25から35日。期間は5から7日間。
月経量は多い、色は紫紅色、大きい血塊を排出するような激痛。
24歳のときに結婚。
結婚後いまだに未妊。
平時は帯下が多い、色は黄白。
婦人科の検査では子宮はやや小さく、頸部に軽度の炎症がありました。
基礎体温は二層にわかれています。
高温相の上昇は緩慢です。
尚且つ、高温相は短めで安定性を欠きます。
ホルモン検査ではエストロゲンが低かった。
脈は弦細、舌質は淡紅、舌根部は比較的に膩苔。
初歩の分析では腎虚血瘀。
初診には私達の痛経湯を用いたが月経痛に対する効果は理想的ではなかった。
そこで私達はより深く検討し分析しました。
いま、患者は生理2日目で腹痛は強烈である。
しかも出血量が多いことを伴う。
肉が腐ったかのような塊を排出したので、これは膜用痛経である。
次回の月経時には逐瘀脱◯湯に変更しましたら痛経は大幅に減軽しました。
生理が7から8日間あったのが減少して5日間で終わるようになりました。
魯さんは2ヶ月連用しました。
そして故郷の山東省に帰ってから現地の中医院から、私達の処方の原方を要求されました。
出血量が多かったので莪朮や三稜は抜いて、血余炭などで止血も加えましまた。
結果、生理痛もひどくなくなりました。
ただし月経期間は9日間と延長したので、再度、オリジナルの原処方に戻しました。
生理が終わってからは補腎調経をしていきます。
その年の終わりに魯さんは妊娠、そして女児を出産しました。
痛みの兆候はすべて消失しました。
(訳は土屋幸太郎でした)
⭐️生理痛の軽減が体質改善、妊娠につながった症例でした。
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中山道馬籠茶屋